夏休みに、ふるさと歴史学習館の歴史体験教室「藍の生葉で染めるシルクストール」に参加しました。

かつて河内地方の特産品だった「河内木綿(かわちもめん)
そのブランドを支えたのが、木綿のも原料である綿(わた)の栽培と、糸や布を染める藍染め(あいぞめ)です。
ふるさと歴史学習館では、今も館の敷地内で綿や藍が栽培されています。その藍の葉っぱを使って染め物体験できるのが、今回の歴史体験教室です。

こちらが、プランターで栽培中の藍。(写真は体験終了後に撮影したものです)
ふるさと歴史学習館の藍
この緑の葉っぱで、こんなに爽やかなブルーに染めることができました!
藍染めシルクストール、庭で撮影
火も薬剤も使わず、自然由来の材料と身近な道具だけを使って、わずか2時間で植物染めができるなんて。真っ白な布が、緑色の葉っぱで天然の青に染まっていく様子に、本当に感動しました。

藍の生葉染め、人生初!体験リポート

藍の葉を摘みます

今回使った葉の量は、80g。(染める布の4倍くらいの重さ)
参加者一人ずつが籠を持って、自分の分の葉を摘みました。80gってこんなにあります!↓
藍の葉80g
なるべく色が濃く、変色していない綺麗な緑の葉がいいそうです。
じっくり選びたいところですが、時間をかけるのは禁物。
摘むとすぐに葉の染料の酸化が始まっていくので、手早く摘むのがポイントです。

80g摘めたら室内に戻って、葉を水洗いします。ここからはずっとゴム手袋をはめての作業です。(葉を摘むときも、はめていてOKです)
変色した葉や虫を見つけたら取り除いておきます。
藍の葉を水洗い中
洗い終わったら、水気を切ります。ザルに入れたまま、次の工程の順番を待っている間に自然と水が切れます。

藍液づくり

藍の葉80gと水600mlを入れて、約1分間ミキサーにかけます。
藍の生葉と水をミキサーにかけます
写真のような一般的なミキサーでは、だいたいこの分量が1回で作れる限界量だそうです。

だんだん草のにおいが漂ってきました。
原っぱで遊んでいて、手やズボンに草の汁がついたときみたいな、あの感覚です。

1分後、藍の葉がどろどろの青汁状態になりました。※なんと飲めるそうです。詳しくはまた後日…

ここからは時間との勝負です!
空気に触れると染料の酸化が進むので、手早く作業します。
なお、各工程に学芸員さんやスタッフの皆さんがいて、常にマンツーマンに近い状態でサポートしてもらえるので、とっても安心でした。
藍液づくりの準備万端
台の上でスタンバイしているのは、2枚重ねた水切りネットをビニール袋の内側に入れたもの。ここにミキサーの中身を注いで、藍液をこします。
ポリ袋と水きりネットに藍液を入れます
ネットの口を結び、ぎゅっと絞って液をこしとったら完了です。
水きりネットで藍液をこします

染色スタート

シルクストールは予め水につけてあります。
シルクを水に漬けます
水気を絞って藍液につけます。染め時間は15分。
そのままでは藍液が染みこみにくいので、袋の上から手でもんで藍液を行きわたらせます。
藍液の袋にシルクを入れます
この段階では、ご覧のように液は緑色のままです。
中の布がどうなっているのかはよく見えなくて、ドキドキ…

15分経過。
再び洗い場へ行き、水を張った桶に布を藍液ごと出します。
袋の中では青緑色っぽかったのですが、水にはなった途端、布が綺麗な青色に変わっていきます!
染まったシルクを水洗いします
流れていく液は緑色なのに、布は青色。感動の瞬間です。

何度か水を替え、洗うほどに青色が鮮やかになっていくように感じました。

乾かして完成!

洗い終わったら、お勝手口でスタンバイしているスタッフさんが、庭に干してくれます。
名前を書いた札を付けるので、自分が染めた布がわからなくなる心配はありませんよ。
ふるさと歴史学習館の庭に干した藍染めストール
爽やかなブルーに染まった布が、夏の空の下ではためきます。
藍の生葉染めができるのは夏ならでは。
この光景が、河内長野の夏の風物詩として伝わっていきますように…


その後、参加者の皆さんと感想を言い合ったり学芸員さんから藍染めのことを教わったりと、楽しくお喋りしているうちに、「乾きましたよ~」の声が。それぞれ自分で染めたシルクストールを受け取って、ひときわ盛り上がりました。

同じ日に同じ藍の葉で染めても、仕上がりには少しずつ違いが出ました。
2つとして同じものができないのも、植物染めの面白さなんですね。

左は、学芸員さんが今年の藍の葉で染めたお手本ストール。
右が、今回わたしが染めたものです。
見本のストールと自作ストール

色止めは自宅で

染めたストールは、天然ものなので最初は色落ちするそうです。
なので、学芸員さんから色止めの仕方を教わって、それぞれが自宅で色止めします。

お酢を使って、キッチンの流しで簡単にできました。

こちらは、体験教室から10日以上経ってから撮影した写真です。
椅子にかけたシルクストール、庭で撮影
変わらず綺麗なブルーを保ってくれています。(洗濯はまだしていません)

新鮮な驚きと楽しさいっぱいの染め物体験ができて、世界に1つの手作りシルクストールが完成して……本当に素敵な体験教室でした。

藍染めが、河内長野の魅力と伝統の1つとして、たくさんの人に伝わっていきますように。


【参考リンク】
ふるさと歴史学習館(河内長野市ホームページ)